813. 選択的夫婦別姓は大人には便利だけれど,子どもにはどうなの?(1)

2021.04.15 19:00|家庭教育の考え方
 選択的夫婦別姓は大人には便利に思えるのですが,子どもにとってはどうなのでしょうか?
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1.選択的夫婦別姓でのメリットは何?
 メリットについては,いろいろと考えられます。ネットや評論家,政治家が述べている主なものを挙げてみます。

【どの大人にも当てはまるメリット】
① 結婚をしても,今までの姓(苗字)で変わらず仕事等ができ,楽である。
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② どちらかの姓にしなくてもよいので,今までの育ってきた家族の延長になる。
 愛着のある苗字でいられるということです。
③ いろいろな手続きがいらなく,費用もかからない。
 書類等の書き換えの手間が省けるというものです。
④ 苗字が変わることによる抵抗感がなくなる。 


【確かにそういうことはあるのだけれど,みんながみんな,求めないメリット】
⑤ 苗字が同じなので,周囲に結婚したことを知られない。
 これは,知られたくない人にとっての利点で,多くの人は知って欲しいと思うのではないでしょうか。
⑥ 離婚がしやすく,再婚もしやすい。
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 必ずしも,必要な人ばかりではないのですが,その当事者になると,ありがたいものだともいえます。


【そういうこともあるかも知れないというメリット】
⑦ 婚姻率が上がるので,出生率が上がる。
 選択的夫婦別姓にすると,結婚率が上がると言いきれるかどうかはわかりませんが,そう考える人はいます。
⑧ 今まで培ってきた社会的信用を継続できる。
 これは,平成27年12月の最高裁判決で,「最高裁判所は,夫婦別姓制度の合憲判決を出し,性(氏)は家族の呼称とした上で夫婦同姓,親子同性の意義や合理性を述べました。
 さらに,結婚の改姓に伴う不利益は「通称使用」が広まることにより一定程度は緩和され得ると判断しています。つまり,今まで使ってきた性(苗字)を「通称使用」すればよいといっているのです。これを踏まえると,このメリットはあまり意味がなくなります。

⑨ 実家である「家」を継ぐことができる。
 相手の苗字になると,変えた方の「家(苗字)」がこの世からなくなってしまうということを言うのです。でも,子どもが大きくなって養子縁組をすれば,なくなるということはないのです。
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⑩ 多様化社会に一歩,前進する。
「夫婦別姓を選択できる社会とは,多様化を認めている社会だ」という論理です。つまり,いろんな価値観を許容する「成熟した社会」だという認識をする立場の場合には,成り立つ理論です。


 これらの選択的夫婦別姓のメリットの主張に対して,選択的夫婦別姓のデメリットの主張もあります。

2.選択的夫婦別姓でのデメリットは何?
 デメリットについても,いろいろと考えられます。ネットや評論家,政治家が述べている主なことを挙げてみます。

【どの大人にも当てはまるデメリット】
① 家族の絆が,同じ苗字と思えば薄くなる。
 苗字が,異なることによる一体感がなくなるというものです。
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② 離婚がしやすいので,離婚が増える。
 ちょっとしたいざこざでも我慢するとか,熟慮するといったことが,苗字が違っていることからブレーキがかけづらくなるというのです。
③ 結婚していると分りづらいので,不倫がしやすいと考える人が出て来る。
④ 周りの人に結婚していると,認められにくなる。
⑤ 学校時間の緊急事態の時に,子どものチェックが確実にできるか不安な面がある。
 これは,地震とか津波とか,水害とかいった天災が起きたときに,親や親戚に子どもを引き取ってもらうといったことが想定されます。引き取り手や引き渡す教師が,不測の事態で,苗字が違うきょうだいのために,対応でうまくできないこともあるというのです。子どもの言うことを信じて,判断するという危うさがあるというものです。
⑥ 戸籍制度が,崩壊する。

 このようなことが言われています。項目数から言えば,メリットの方が多いのです。



3.選択的夫婦別姓の基本的な検討課題は?
 このようにいろいろなメリットやデメリットがあります。ここで考えなければならないことは,
「なぜ,今まで夫婦同姓であったか。これが,よいとされてきたか。」
ということをもう一度,検討してみることも重要なのです。その検討を次の2点で行ってみましょう。

検討課題(1) 「世界の流れだから,日本もそうあるべきだ」という考え方は正しいか。
 世界の流れが,すべて本当に正しいと言えるかということなのです。
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その流れは,今後も不変の価値として続くのでしょうか?
 
「日本は,世界に希な国だ。」
ということで,いろいろな長所を世界の人が驚きをもって見ています。
 このことについては,
今の日本人が世界から賞賛される点については,
568.子どもにも日本人の細やかさがいっぱい芽生えています!
493.これが,コロナウイルス禍で明らかになった日本人のよいところです!
453.ザッケローニ元日本代表監督が,「日本人ほどの団結力は見たことない!」」
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などで紹介して来ました。合わせてご覧ください。

 この世界の人々が驚きをもって見ていてくれることが,日本が古来より日本人として,日本の国として大切に守ってきたことではなかったのでしょうか?
 だとしたら,軽々しく思いつきや,一時の感情で判断することは,後悔しても元には戻らないのです。


 後悔しても戻らないことや戻すのに苦労する例を紹介します。
◆例1 祖父母と一緒に住んでいる子の多くは,言葉遣いがていねいであったり,思いやりがあったりします。いろいろなこともよく知っています。それは,祖父母が,孫にいろいろと躾とか知識・知恵を与えているからです。
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 現在,核家族化が進み,祖父母と暮らす子がごくわずかとなってきました。この核家族化は,やむを得ない面があったので,それが悪いということではないのです。ただ,その核家族化のために,基本的な躾を理解していない子が多くなって来ていることは確かです。また,お母さんも誰に聞いてよいか分らず,育児ノイローゼになる方も多いのです。

◆例2 学校での学習の仕方でも,日本は一斉授業で教授式で教えることを中心に進めてきました。戦後,それではいけないということで,
「子どもの思い通りに学習させた方が良い。アメリカ式に学ぶんだ。」
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ということで進めて失敗したのが,「這い回り教育」と言います。
 知識や考え方などを教えず見つけさせることばかりに視点を置いたために,這い回ることが多く,力がつかなかったのです。それで,また必要なことを教えるという方向転換をしたのです。
 現在は,「ゆとり教育」という言葉をあまり聞かなくなりましたが,
「教育には,ゆとりが必要だ。」
として,詰め込みすぎをなくして,教える内容を少なくしようとしました。その結果,日本の子どもの学力が下がったので,現在はまた,学ぶ内容が多くなっています。

 このように,
「駄目だったら,また元に戻せばよい。」
という方があるかも知れませんが,その駄目だった時の人はどうなるのでしょうか? 
 また,元に戻すことができることならばよいのですが,もう戻らないということになってしまったら,後世の方にどう責任がとれるのでしょうか? ここを考えなければいけないのです。

 簡単な例で言うならば,
◆例3 「日本語は難しいから,世界共通語とも言える英語を国語にすればよい。これが世界の流れだ。」
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 このように言われたらどうでしょうか? 実際に戦後こうした動きがあったのです。 
こうなれば,漢字も平仮名も片仮名もローマ字もなくなります。それらの言葉を使った文化もなくなります。
 日本人が賢いと言われる一つの要因に,これらの言葉を使いこなす民族だからということが言われます。和歌を読むとなんとも言えない余韻にひたれるのは,この文化があるからなのです。
「なんでも世界に合わせればよい」というものではないのです。
 
 これは人間個人においても同じことです。それぞれの人が個性をもち,生き生きと生きているから大切にされるのです。人に合わせて個性がなくなった“猿まね人間”は,相手にされないのです。


検討課題(2) 大人の立場ではなく,子どもの心から考えるべきではないか。
 子どもの頃に,強く思ったことは,その子の一生を左右することになります。

親の愛情をいっぱいもらった子は,自分の子どもにも愛情をいっぱい注ぎます。
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親の愛情を感じなかった子は,我が子に注ごうとしないということが多いのです。あるいは注ごうとしても,そのすべがかからないのです。
親に嫌われた子は,我が子を愛せません。
親の愛情の気持ちを疑った子は,その親や周りの大人に対して,人間不信になっていることが多いのです。
親に体罰を受けて親を恨んだ子は,知らず知らずのうちに我が子に体罰をしてしまうのです。


 これが,子どもなのです。心が発展途上だからです。この心が,発展途上だということを大人は理解しなければいけないのです。

 私は,教員生活を送って来て,子ども達が幸せな家庭状況・家庭環境の中で,喜びを味わい楽しく生活を送ってきている子達を多く見てきました。
 逆に,見るからに悲しい対応をされたり,劣悪な家庭状況・家庭環境の中で過ごしていたりする子達も見て来ました。その子達は,深く傷ついたり,苦しみもだえていたりして手を差し伸べずにはいられなかった子達です。

 そのことを踏まえて考えるときに,この「選択的夫婦別姓」を子どもの側から見る視点を最も大事にしなければいけないと考えるのです。なぜならば,将来の家庭を,地域を,国を支えていくのが,この子ども達だからです。


 子ども達の側から,「選択的夫婦別姓」のあり方を見ていく視点を4つ設けました。

【子ども達の側から「選択的夫婦別姓」のあり方を見ていく4つの視点】

視点(1) 愛する親が仲がよいと思えるには,どちらがよいか。
視点(2) 兄弟姉妹が,平等に扱われていると喜びをもてるのには,どちらがよいか。
視点(3) 親子のもめ事があったときに,どちらがよいか。
視点(4) 子どもにとって納得がいく説明をするには,どちらがよいか。


 子ども達は,優しい親の愛に包まれて,
(私は,愛されている。)
と思って生き,その親の言うことならばと,受け入れて来た結果が,今の日本人の姿なのです。今の日本人が世界から賞賛されるゆえんなのです。
 この姿が,なくならないためには,ずっと今後も続いていくためには,子どもと親との愛のつながりが必要不可欠なのです。それを次から「子どもの目線から見た『選択的夫婦別姓』のシリーズ」で考えていきたいと思います。
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名前 : 英ちゃん(柘植 英次)
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教育関係履歴:岐阜県の教員
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