208. 父親の愛を知らない父親が,本当の父親になる!

2019.08.19 20:00|具体的な家庭教育例
父親の愛を知らない父親が,我が子を通じて本当の父親になる!

 ある小学校で5年生を担任したときのことです。
 K子(仮称)は,とても成績がよく,気丈で学級委員を毎年やっているような優秀な子でした。
しかし,5年生になって,父親への反発が始まったのです。お母さんが深刻な表情で相談に来られました。その内容の主なことは次のことです。
反抗期

(1)父親のことを「あんな人」と言うようになり,今まで言っていた「お父さん」とは言わなくなってしまいました。

(2)父親が注意をすると,「うるさい。」と言って聞こうともせず,その場からいなくなります。

(3)母親の言うことは,今までと同じように素直に聞きます。ただし,父親に関してのことは聞かないのです。

(4)学校では今までと全く変わらず,過ごしているようです。



 そこで,お父さんとお会して,様子やその原因を探りました。
そこから,次のようなことがはっきりとしてきました。

①お父さんのお父さん(K子の祖父)は,物心がつく前に亡くなられたので父親の記憶もなく,父として子どもにどのように接したらよいのかわからない。

②父親なので,女心がわからない。何を考え,何を思っているのかわからない。

③娘に上手に話をすればよいのだが,話が上手な方ではないのでどのように話したらよいのかその話し方がわからない。
④娘のあのにらむような目つきにはどう接したらよいかわからず,つい怒鳴ってしまう。

⑤最近,2回ほど叩いてしまった。それ以降,口をきいてくれない。



 話をしている中での印象は,非常に温厚な方で優しいお父さんであると感じました。
そこで,お父さんにお願いをしました。
1つは,今,起こっていることに対しての誠実な話し合いへの対応です。
2つめは,話し合い以降のお父さんの温かい生活姿勢の継続でした。


 このブログを読んでいらっしゃる方の中には,(私には,親がいたから関係ないわ。)と思われた方もあると思いますが,親の存在ではなく,親としての対応の参考にしていただきたいのです。

 この親子の話し合いの前に,担任としてお父さんの気持ちをしっかりと聞き出し,
「お父さんは,とても反省しているよ。」
と,まずK子に伝えました。それから,
「まず,お父さんの言うことを聞いてあげる,その上で,何か言いたいことがあるのなら話すんだ。」
という約束で,父(母)とK子との話し合いが始まりました。(担任は見守る形で同席しました。)

 話し合いは,父親からの「謝り」→ 「今までの父親の思い」 →「今後の父親の姿勢」の順番で進めました。


1.娘に今までの父親の行動を謝る。 
 K子のお父さんの生育歴を簡単に話してもらい,お父さん(祖父)に育ててもらっていない自分がお父さんをしてくるにあたっての辛さ・不安があったことを話してもらいました。その上に立って,普段,大したことでもないのに(直さねばいけない。)とついつい小言を言ってしまっていたことや,どう対応したらよいかわからなくなったときに,怒鳴ったり手を上げてしまったりして悪かったことを心からわびてもらったのです。
 このお父さんの泣きながらの語りに,初めは(なにさ。)といった表情だったK子も涙ぐんで聞いていました。


2.娘のよさを語る。[今までの父親の思い]  
 K子との話の前に,K子のよいところは何かを父親に聞きました。
「よく気がつく子で,いろいろやってくれる。」
「何にでも頑張る子だ。」
「お手伝いをしっかりやる。お母さんが喜んでいる。」 
 このようなことを言われたので,話し合いの時には,これらのことをお父さんは今まで嬉しく見てきたと具体的に話してもらうように依頼しました。 
 お父さんがK子のよさとして,今まで見てきていたことを話す時には,K子は真剣に聞いていました。
 話し合いの後,
「どうだった。」
と担任として聞いたとき,
「(お父さんが,私のこんなところを見ていてくれたんだ。)と嬉しかった。」
と話してくれました。


3.優しい言葉遣いに改め,褒める。[今後の父親の姿勢]  
 日頃の親子のふれあいがとても重要なのです。
しかも,思春期に入り,友達との情報交換もあります。理想的な父親の話を聞いたりすれば,(うちの親は,何という人なんだ。最低だ。)ともなります。
「3つのことで,お父さんも頑張るからK子も頑張ってほしい。」と約束をすることとしました。

約束(1) 日頃から「良いことはよい」と褒める。
「今までお父さんは,褒めるということがあまりにも少なかった。(できて当然。)と思っていた。(すごいことだ。)と思っても,口には出さなかった。言葉で伝えなければ,人の心の中なんてわからないんだね。だから,ちゃんと言葉で伝えるよ。」

約束(2) K子の気持ちを聞いて対応する。
「今まで,K子に話しかけることが怖かったのかもしれない。どう言ってよいかもわからなかった。これからは,K子がどう思っているのかをまず,聞くよ。そこで,どうするかみんなで考えよう。」

約束(3) 何でも相談してくれたら,真剣に親として相談にのる。
「今までお母さんにはいろいろ相談をしていたようだけれど,お父さんにも相談をしてほしい。お母さんとよい知恵を出すから。」

 お父さんは,この3つのことを紙に書いて貼りだし,必死で努力をされました。相談を受けた6月には,
「わけがわからないけれど,とにかくムカつくんです。」
と言っていたK子も5ヶ月経った11月頃には,親子の関係が正常に戻りました。

 親子はつながっています。心の中は言葉・態度で示さないと,親子であってもなかなか伝わりません。(わかっているだろう。)ではなく,「わかってくれるように伝える」,それが親の愛だと思います。
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名前 : 英ちゃん(柘植 英次)
趣味 : 読書・魚釣り
教育関係履歴:岐阜県の教員
教頭・可児市主任指導主事・校長を経験

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