254. 「学校掃除」を海外ではやらないの?!

2019.10.04 20:00|学校教育との連携
「学校掃除」を海外では,行っていないことをご存じですか?!
soccer_flag_woman.png
 2018年,サッカーワールドカップがロシアで行われました。その大会で試合終了後に日本のサポーターが,スタジアムに残された飲み物の空コップや食べ物の容器をゴミ袋に回収し,清掃する姿が世界中に放送されました。
自主的・自発的に観客席を掃除したのです。その様子が世界の人々に驚きと感動を与えました。
 こうしたことは,日本ではあり得ても外国ではないのです。それは,掃除というものに対して考え方が違うからです。

kankou_kaminarimon.png
 パナソニックの創始者で,雷門で知られている松下幸之助氏が人材教育において,掃除を励行させていたのはよく知られています。その松下幸之助氏の考えをちょっと見てみましょう。

【松下幸之助氏の考える掃除の効果(私なりの要約)】

 掃除が行き届いて美しい状態であれば,だれもが清々しい気分になります。
さらに,整理・整頓がすみずみまでなされていれば,仕事はムダなくより合理的に行われるはずです。
 掃除とはだれでもない,自分が実践するものです。その「みずから実践する」ところに大きな意義があります。つまり,掃除が人の修養に役立つのです。掃除による辛抱が人を成長させるのです。


school_chiritori_houki.png
 日本の小学校・中学校・高校のように,子どもたちに掃除をさせる国は,先進国ではほとんどありません。
 最近,日本のように学校掃除を行おうとする外国の小学校も少しずつ出てきています。
では,日本の一般の学校で,掃除を子どもにさせているのには,どんな理由があるのでしょうか?

【なぜ,日本では学校で掃除をするの?】

(1)自分たちが使う教室などへの感謝の気持ちをもつ。
syougakkou_souji.png
 自分たちの教室,自分たちの生活する場という意識が高まり学校への愛着が高まります。
「僕たちの教室に勝手に入って来ないで。」
「私たちの教室は,全校で一番きれいな教室よ。みんながきれいにしているもの。」
 このように,自分たちの居場所としての教室です。海外では,ただ使用する場所という感覚が強いと私が行った学校では思いました。


(2)きれいな環境で学習することが,学習効果を高める。
benkyou_classroom.png
 学校が荒れると,当然,教室内にゴミが多くなります。誰も掃除をしっかりとしようとしなくなります。学習をする雰囲気ではなくなります。
 反対に掃除に一層力を入れていくと学校の荒れが収まってきます。観葉植物などを置くと荒れた学校が落ち着いてくるのもこのためです。
「ゴミをちらかさないで。私たちが一生懸命掃除したんだから。穢いとやる気がなくなるでしょ。」
tsukue_kitanai.png
 この言葉のように教室が穢いと以前紹介した「窓われ理論」で,ますます教室が穢くなります。そして,心もすさみ,やる気も失っていきます。
【113.「窓われ理論を我が家に生かす!」ご参照ください】


(3)与えられた仕事を着実にこなすことで,自己の役割を果たすことができる子になる。
school_kokuban_kesu_boy.png
 掃除の始めに「役割」や「目当て」を確認したり,終わりには「反省」をしたりします。(カードで行うところもあります。)これを行うことで,誰もが貢献していることがわかり,自己存在感を味わうことができます。反省会で貢献できていないことがわかると,翌日は一層頑張ろうという意識になります。
「僕がここをきれいにしたんだ。」
「祐二さんの担当した流しはピカピカだね。使っていても気持ちいいわ。」


(4)仕事の大切さを知り,より工夫して行う創造性を養う。
yuka_zoukin_fukisouji.png
 「掃除が人の修養に役立つ」とか,「掃除による辛抱が人を成長させる」という松下幸之助氏の考えに通じるものかもしれませんが,掃除を行うことで子どもにとっての仕事は,
(やりたくないけど,やるしかないか。)
(ぼくがやらないと,掃除班の子に迷惑をかけてしまう。頑張ろう。)
haburashi.png
(この隅を歯ブラシで掃除したら,とてもきれいになった。もっと掃除を工夫すると面白いぞ。)
(最近,掃除が面白くなってきたぞ。有実さんにも教えてやろう。)
などと心の成長があるのです。

 
(5)クラスの子のために自分ができることを努力する心情を培う。
school_tsukue_hakobu.png
 人は一人では生きられません。関わりが重要です。掃除班は自然発生的なグループではなく,言わば与えられた組織です。その中にあって自分がどれくらい貢献できるか。或いは学級・学校にどれだけ貢献できるか,「人のために努力する」という人として一番大事なことができる場なのです。
「あの掃除場所は,いつ行ってもゴミ一つ落ちていないね。」
scool_room_kyoushitsu.png
「あのクラスが担当した玄関掃除は,お客さんが来る度にきれいだと褒めてくださる。」
このような言葉を聞いたら,
「もっと,掃除を頑張ろう。」
「掃除以外でもみんなのためになることを頑張ろう。」
そう思えてくる子が多くいます。

 外国では掃除担当の人を管理人といった形で雇ったりしていますが,その経費が節約できるからといった理由で学校掃除を取り入れる考えもあるようですが,これはちょっと寂しいことです。

 かつてスウェーデンに海外視察に行ったとき,
「どうして,子どもは掃除をしないのですか。」
と私は聞いてみました。
「掃除は掃除をする担当者がいます。その人の雇用を奪うことはしません。」
job_souji_seisou_gyousya.png
と言われたことがありました。その国独自の考え方はあるでしょうが,この日本の学校での掃除は,諸外国で少しずつ取り入れられていることは確かです。

「日本ほど,街がきれいな国はない。」
とよく言われますが,この小さいときからの学校掃除は,日本人の勤労観,環境観につながっているのですね。我が家でも家庭環境をきれいにする我が子を意識して認めていきましょう。

プロフィール


名前 : 英ちゃん(柘植 英次)
趣味 : 読書・魚釣り
教育関係履歴:岐阜県の教員
教頭・可児市主任指導主事・校長を経験

家庭教育法について情報発信中

カテゴリー

カレンダー

09 | 2019/10 | 11
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

最近の記事

カウンター

最近のコメント

ブログランキング

リンク先にも、参考になるブログがありますので、お時間あればクリック願います。問題解決、こども達の笑顔に繋がります。

リンク

教育関連サイトの相互リンク募集中。お気軽にメール又は、コメントに依頼ください。


メール

個人的な相談はこちらへどうぞ。許可なく内容を公開することはないので、安心下さい。


名前:
メール:
件名:
本文:

ブックマーク

月別アーカイブ

検索

  • ページトップへ
  • ホームへ